2021-09-03

30年分の蟹をブール・ノワゼットと共に

我が家では隣人との付き合いの関係で、クラウド・ファンディングに投資することがわりにある。

投資といっても数千円程度のもので、さらには商品まで送っていただくので、「買い物」と呼ぶほうが相応しいのかもしれないが、普段買わないものが届くためこれがなかなか面白いのだ。

先日もプチ出資させていただいた先から蟹を贈っていただいたので、今日はこだわりの蟹をご紹介させていただこう。

ジャパン・フード・サービスの「ソフトシェル・クラブ」。

ソフトシェルとは名前の通り殻が柔らかい蟹のことで、小海老のように殻ごと丸々食べられるのが特徴だ。

日本ではあまり需要がなく珍しい食材だが、ソフトシェル・クラブ協会によると、アメリカにおける蟹の水揚げ量の約半分はソフトシェルであり、東南アジアでも高級食材として好まれているらしい。

ソフトシェルが高級である由縁はキャビアの生産と同様に、「ものすごく手間がかかる」ことに起因している。

なんでも蟹が脱皮した瞬間に捕獲しなければならないため、監視員が24時間体制で監視しているそうだ。

がんばって脱皮した途端、捉えられる蟹も不憫なものだが、夜通し蟹を監視し続ける職員もたまったものではないだろう。

フローレンス刑務所の方がいくぶんか環境はマシかもしれない。

そのような涙ぐましい努力の先に、ソフトシェルは捕獲されるが、皮肉なことにそんなに美味しいものでもなく、私としては6年に1度食べられれば大満足である。

しかし今回、せっかく1キロ(約30年分)もいただいたので、王道的な「唐揚げ」を本気で仕立ててみることにした。

生臭くなりがちなソフトシェルは、「丁寧な下処理」が鍵を握るため、最高品質のミネラル水に岩塩を3.5%の濃度で加え、そこに半日浸し、目、口、はかま、えらを丁寧に切り取った後、しっかりと水気を切る。

要となる油は、ロレンツォのオイルに従い、オメガ6とオメガ3を4:1にブレンドしたものを採用し、最後に牧草牛のブール・ノワゼット(焦がしバター)を添えれば、カリフォルニアのシャルドネによく合う一皿が誕生する。

生臭くなった調理器具の掃除も含めて、骨の折れる仕事だったが、人類は美味しいものを食べるためなら命を削ることだってできるのだろう。

そういう意味では、巨大なマンモスと戦った時代から何ひとつ変わっていないのかもしれない。


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ご存じの通りKは偏屈で気難しい人物である。それゆえ友達が少ないため申請してあげると喜ぶに違いない。

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コメント24件

  • ゆうしまる says:

    本日も貴重な記事をありがとうございました。

    脱皮した瞬間を捕まえるために24時間体制で見張る警備員の仕事はしたくないと思いました。

    と同時に、ソフトシェル・クラブにもなりたくないと感じました(笑)

    いい食材を手に入れても、何を使ってどのように調理するか次第では、いい食材も殺してしまいかねませんよね。

    脱皮した瞬間に捉えられるのだから、自分がソフトシェル・クラブならば、この上なくおいしく調理してほしいです。

    なんだかお腹が空いてきました。

    ありがとうございました。

  • まれすけ says:

    高知県西南部では、季節になるとワタリガニがそこそこ水揚げされるのですが、大きく型のいいものは高知市や松山市、関西圏へと出荷され地元ではあまり食べられません。皿鉢料理にワタリガニが乗っていると、相場は少し上がってしまいます。
    また、川でとれるツガニという小さいカニは、茹でて食べるには手間のわりに身が少なすぎるので、ばあちゃんが生きたまま数十匹をすり鉢で殻ごと擦って、それで味噌汁を作っていました。味噌は甘めの麦みそ。これが上手くて、ご飯に汁ごとかけて食べるのが好きでしたね。
    あのツガニも唐揚げにすれば、きっとおいしかったんだろうと思います。

  • Yuto Ueda says:

    ソフトシェル・クラブという蟹が存在するのですね。
     
    そもそも蟹が脱皮をするという事実に衝撃を受け、それを24時間監視している方々の努力に度肝を鷲掴み。
    さらに、Kさんの蟹の調理への情熱に目から鱗が滝のように流れていきました。
     
    たった二分でここまで衝撃を受けた記事は久々かもしれません。心踊る瞬間でした。
    楽しい時間をありがとうございます。

  • 真吾 says:

    Kさん、今回も素敵な記事をありがとうございます。

    ソフトシェルという殻ごと食べられる蟹が存在することには、衝撃を受けました。

    それほど美味しくないと言われるものでも、Kさんの手にかかれば、お気に入りのワインに合う最高の一品に変わってしまうのですね。

    恥ずかしながら、普段は炒め物などしかしない僕ですが、久しぶりに手の込んだ料理でも作ってみたくなりました。(笑)

    次回も楽しみにしています!
    ありがとうございました。

  • 琴美✈︎kotomi says:

    Kさん、いつも素敵な記事をありがとうございます。

    「ソフトシェルクラブ」
    耳にした事ある単語ではありましたが、それが一体どんな物なのか知りませんでした。

    下処理、調理、後片付けを含め、こんなに手間がかかるとは、私なら途中で何もかも床に叩きつけて放棄してしまいそうです。

    しかし時間と労力をかけて作ったCodawariの料理は、その工程を経て初めて口に出来るものならば、人生で一度くらいは経験してみたいです!

  • 早紀 says:

    Kさん

    脱皮した瞬間を狙うとは
    監視員の方の果てしない努力を
    感じさせられますね。

    下処理のそのひと手間といっても、
    塩を振って少し寝かせるとか、
    しょうゆに漬け込むとか、
    そんな類で味が左右されることに
    未だに驚きがありますが、

    ミネラル水に3.5%になるように
    岩塩で塩分濃度を調整し、
    丁寧な下処理を施されるという
    さらに一枚上手を歩むKさんの姿に
    見習わなきゃなと思いました。

    本日も学びの時間をありがとうございました。

  • Nobutoshi says:

    ソフトシェル。
    言われれば意味は分かるけど初めて聞いた単語です。

    手間がかかる分高くなる。でも美味しくない。
    さらに料理器具が生臭くなる。

    これをおいしそうに料理してしまうのはさすがですね。

    30年分って・・毎日カニ三昧ですね(笑)

    本日も自分にとっての非日常をありがとうございます。

  • 江畑直人 says:

    Kさん、おはようございます。

    ソフトシェル・グラブなる食材がこの世に存在していることに驚きました。
    なるほど、脱皮直後の殻が柔らかい時に捕獲するからなんですね。

    頑張って脱皮したのに捕まる蟹と、脱皮を見逃さないよう、24時間監視している監視員の苦労の割に、消費側(Kさん)にとってはあまり美味しくないのであれば、労働対効果は低いと思ってしまいますが、
    そこで彼らの苦労が報われるように、美味なる食材に変貌させるべく、仕込みから調理、味付けにかけて、しっかり時間をかけるKさんは流石ですね。

    生ける食材と生産者への感謝と敬意が現れた行為に感銘を受けました。

    本日も素晴らしい記事をありがとうございます。

  • shingo says:

    ソフトシェルクラブ。
    実はそんなに旨くはないのですね。

    脱獄不可能なフローレンス刑務所が
    マシだと思える試練に耐え抜き
    やっと手に入れることができるというのに。

    前回のTKGがまだ余韻として目の前を
    チラついているので冷静なコメントが
    できないと思いますが。

    唐揚げは最高だと思います。
    私は、以前ご紹介いただいた岩塩を削って
    かけて食べたい気分です。

    それにしても美味そうですね。

  • mitsue says:

    Kさん、おはようございます。

    ソフトシェル…殻ごと食べられる高級食材、初めて聞きました。
    Kさんのcodawariに触れると知らない世界がほんの少し身近に感じます。

    蟹が脱皮した瞬間に捕獲しなければならない、監視員の時間を操るソフトシェルはキャビアと同様に手のかかる女王様みたいですね。

    唐揚げになった蟹はとても美味しそうです!!
    その裏にはKさんの地道な下ごしらえと調理器具の片付けがあったのだと思うと、
    唐揚げに後光が見えます(笑)

    素敵な記事をありがとうございました。

  • HARU says:

    「ガイアの夜明け」を録画して観ています。

    先日の録画が、
    『外食危機・・・ 女性リーダーの決断』というテーマで、
    ゾウのマークで有名な ドムドムさんの特集でした。
    ※ もうひとつの特集は、居酒屋チェーン 世界の山ちゃん。

    ドムドムさんの 商品ラインナップの中に
    ❝ まるごとカニバーガー ❞ があり、
    ソフトシェルクラブの唐揚げがまるごと挟まれている・・・。

    インパクトもさることながら、
    美味しそうでした。

    たまたま CodawariさんのBlogに
    ソフトシェルクラブのお話が登場したので、
    プチシンクロとして コメント致しました。

  • 肥田全弘 says:

    蟹が脱皮した瞬間に捕獲…

    完璧にめくじらを立てていないといけないですね?言葉の使い方間違っていたらすみません…

    しかも、あまり美味しくないとなったら、人件費のコストパフォーマンスが悪すぎですね?

    しかし、レアな食材で、本当に好んでいる方がいるからこそのお陰です。

    獲物と戦い、狩り、息の根を止めて、調理し、食す瞬間も至福の時だろうと思います。
    シカやイノシシ、熊を狩るところから、やりたい願望ありです。笑

  • 雄貴 says:

    Kさん、こんにちは。
    本日も面白い記事を有り難うございます!

    蟹との格闘が鮮明に伝わってくるような文章でしたが、

    Kさんの最高級のこだわりがふんだんに詰まった調理法で仕立てた蟹がどんな味なのか、とても気になりました。

    今回は唐揚げでしたが、30年分の残りの蟹たちがどう調理されるのかも気になるところです笑

    また、ソフトシェルという食材がある事を初めて知れたので、機会があればぜひ食べてみたいと思います!

    次回も楽しみにしています。

  • 歳國亞希 says:

    Kさん
    本日も素敵なエッセイをありがとうございます。

    ソフトシェルという蟹を初めて知りました。

    この記事を拝読しながら昔、祖母が夏になると家の前の川で採った蟹を素揚げして、おやつに出してくれていたことを思い出しました。

    しかしながら高級品ともなると捕獲に24時間体制で脱皮直後を狙い、調理にも下処理と本当に「手間暇かけて成り立つのだなぁ」感じました。

    料理の写真は、フレンチのコースに出てきそうな仕上がりで本当に美味しそうです♡

    Kさんのエッセイを通して
    今まで考えもしなかったこと
    知りえない世界をたくさん教えてもらい

    いろいろな物事を自分の中に取り入れる楽しさを感じております。

    ありがとうございます(*´꒳`*)

  • 若菜 says:

    いつも素敵な記事をありがとうございます。

    この世に殻ごと食べられる「ソフトシェル・クラブ」なるものが存在するとは。。。!
    しかもクラウドファウンディングの返礼品として用意されているのも、こだわりを感じます。

    捌いて唐揚げにするのはさぞ骨の折れる作業だったことでしょう、その分格別なお味だったことも想像に難くありません。
    格闘の過程も美味しさのスパイスになるのでしょうね。

    蟹好きとしては一度ソフトシェル・クラブがどんなお味なのか試さなくてはなりません。
    使命感を持って、次回も楽しみにしています。
    ありがとうございました。

  • Yusei says:

    柔らかい蟹というものが存在するのですね。

    一生のうちに30年分も食べれるのか
    気になりました。

  • Makiko Kawano says:

    Kさん、本日も新たな知識をありがとうございます!美味しそうな題名につられ、やって参りました。

    命がけで脱皮した直後、捕獲される蟹さんには申し訳ないですが、とっても美味しそうです。
    24時間体制の監視員さんにも感謝ですね。
    からの『そんなに美味しいものでもなく…』
    という記述に突っ込みを入れつつ、読み進めました。

    私の場合、下処理の時点で投げ出し、
    最終的な美味しい唐揚げの姿にはしてあげられそうにありません。。
    手間を惜しむと、美味しさも半減するのでしょう。

    我が家でもオメガ6とオメガ3、4:1の油を使っています。同じ物ではないでしょうが、嬉しくなりました。

    次回の記事も楽しみです!
    ありがとうございました!

  • 亜也可.ayaka says:

    たくさんの手間暇とcodawariの集大成として生まれた一皿にカリフォルニアのシャルドネ、
    この文字と写真だけで、お酒が2杯は飲めそうです。

    手間がかかるわりにそこまで美味しく無いものに、なぜそこまで労力を割くのだろう‥と素朴な疑問を感じましたが、人類の飽くなき食への興味がそうさせているのかもしれませんね。

    生きるためというのが一番の理由でしょうが、マンモスがあまりにも美味しいから命がけで食べていたのかも、と想像するとなんだか原始時代の人々が愛おしくなりました。

  • 真里 says:

    Kさん、素敵な食材のシェアをありがとうございます。
    見た目のお色から日本に馴染みのない色をしていますね。私は数年前に美味しいサバの味噌煮を食べたいと思ってクックパッド片手に下処理を行いましたが、青魚特有の強烈な匂いにやられて二度と作りたくないと思ってしまいました。
    しかしその分、美味しかったのでどんなに面倒でも美味しく食材を戴きたいならそのひと手間を惜しむ事は本当に勿体ないですね。

    さらには、美味しく食卓を飾るために24時間監視してくださった労働者の方、そして健康的に脱皮してくれたカニさんの為。
    私も何気なく摂っている食事ですが、感謝を忘れずに戴きます。

  • 貴明 Takaaki says:

    Kさん、おはようございます。
    美味しそうなタイトルだったので拝見しました。

    沢蟹のように素揚げが美味しいという噂を聞いたことがあるので、このソフトシェルクラブもとても美味しそうに感じました。下処理をしっかりしなければならないことから少々クセがあるようですね。

    丁寧に下処理と厳選された油で揚げたソフトシェルクラブの素揚げはとても美味しそうですね。こだわりのレシピのシェアをありがとうございます。

    今回も楽しませていただきました。ありがとうございます。
    次回も楽しみにしています。

  • 留莉 says:

    殻ごと食べられる蟹が存在していたことにまず驚きました。

    24時間脱皮した瞬間に捕らえるために監視していて、そのわりに美味しいものでもないのはなんだか切ないです。

    捕獲するのにそれだけの労力がかかっている分、調理に惜しみなく手間暇をかけるKさんに脱帽します。

    蟹も漁師の方もKさんに食べていただけるなら本望だと思います。

    おいしいものを食べるために、命を削った経験は今までそんなにしてこなかったのですが、食材を活かすために一度、削ってみることに挑戦してみようと思います!

    今回も貴重な記事をありがとうございました!
    次回も期待しています!

  • みきこ says:

    Kさん

    いつもありがとうございます!

    ものすごく手間をかけて育てられたワタリガニは、片手間では扱いきれない高級食材なのですね。

    時間と労を惜しむことなく作られた逸品は、一見さんお断りのお店でもいただけないのではと思いました。

    久しく手のこんだ料理をしていないので、秋の食材でこだわりの一品を作ってみようと思います。

  • ゆうこ says:

    Kさん、こんばんは!

    こんなに小さな蟹なんですね!

    油が要となる、、、。流石です。

    マンモスの時代から人は食べるものには
    貪欲だったということ←貪欲でニュアンスあってるでしょうか

    「人って変化してる様で
    実は根本は変わってないよね」

    って感じた時に
    とてもホッとした気持ちになります。

    生きる、とか
    性、を考えた時に

    そういう気持ちになります。

    次回の投稿も
    楽しみにしています!

  • りゅうき says:

    本日も素敵な記事をありがとうございます。

    調理の手間のかけ方をみて、
    僕もきっとこの食材ならこれだけするんだろうなと思いました。

    最近物を美味しく食べるということを全然していないので、
    希少なものを丁寧に調理する体験してみます。

    次も楽しみにしています!!
    美味しいカニが食べたい!!

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